AtomのC6ステート

VAIO type PにはAtom ZシリーズのCPUが搭載されてい
る。このCPUの最大の特徴は省電力性だ。

Atom Zでは負荷に応じて、クロックを落とすだけでなく、
アイドル時にはキャッシュに保持されている内容や、コア
のステートをメインメモリに順次書き出し、ブロックごと
の電力供給を絶つことで、CPUの消費電力を削減する機能
を備えている。

その最省電力の状態のステートがC6だ。C6ステートでは、
本体のL2キャッシュの内容や、コアが現在処理している内
容をメインメモリに書き出し、VCC回路からCPUコアおよ
びキャッシュへの電力供給を切る。これによってアイドル
時には100mVで(最上位のZ540では400mV)という低消費
電力で駆動することができる。

さて、このC6ステートだが、OSでサポートされていない
と動かないのだろうか。インテルのハードウェアに詳しい
人に話を聞いてみた。

それによれば、このC6ステートはハードウェアがロジック
として動いており、特にOSによるサポートの必要はないと
いう。もちろん、OSがアイドル状態に陥ることが大前提だ
が、アイドル時間がCPU内のCステート遷移タイマーに達
すれば自動的にステートが切り替わるという。

しかも省電力ステートへは、かなり頻繁に遷移するという。
インテルによれば、たとえMPEG-2ファイル再生中で、
CPUの使用率が40~50%で遷移していても、CPUの内部的
にはかなりの時間をC3またはC4ステートが占めたという。
そこで新たにより深いスリープに入るC6を用意したこと
で、省電力化を図ったそうだ。

しかし残念ながら、OS上からはステートを見ることはでき
ない。上記の結果もVCCのハードウェアロジック部分に直
接アクセスして監視した結果だという。だから、Atomの
場合もその多くがC6ステートであり、平均消費電力が低い
というのはそのことだ。本当にフルパワーでAtomを走ら
せた場合は、かなり消費電力が増えることになる。

といったところで、type Pのバッテリ駆動時間を増やす最
も簡単な手法も見えてくる。どのクロックで動かしても、
いずれ消費電力の低いC6ステートに移行して最高の節電効
果が得られるのならば、最高のクロックを維持して処理を
速く終わらせたほうが良い。そのほうが結果的に駆動時間
が延びる。

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